《保育料無償化実施後発生した4つの問題点》

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本日は保育料無償化実施によって起きた問題について述べたいと思います。

2019年10月に保育無償化が実施され、実際に運用していく上で現場ではいくつか問題が起こっているようです。

具体的に以下の4点があげられます。

  1. 待機児童の増加。またそのことによる保育の質の低下
  2. 給食代や延長保育の相次ぐ値上げ
  3. 保育園と幼稚園で無償化になる時期が違う。いわゆる‘‘3歳の壁”
  4. 無償化にならない認可外保育所とのさらなる格差

1つめは「待機児童の増加。またそのことによる保育の質の低下」

こちらは無償化実施前から指摘されていましたが、無償化になることで入園希望者が増え、待機児童の増加、さらに保育士の方の負担増による保育の質の低下が危ぶまれています。

2つめは「給食代や延長保育の相次ぐ値上げ」

こちらは実施後、新たに取り沙汰された問題で、保育料が無償化になったことにより、今まで値上げに踏み切れなかった保育所が給食代や延長保育の値段改訂という名目で値上げを行い、一部の利用者の負担はほとんど減っていないという問題が発生しています。

3つめは「保育園と幼稚園で無償化になる時期が違う。いわゆる‘‘3歳の壁”」

こちらは保育園では4月時点で3歳になった子供が無償化になるのに対し、幼稚園では3歳になったその月から無償化の恩恵を受けることができます。なので幼稚園に通わせたほうが数か月無償化を受ける期間が長くなり、お得という事態が発生しています。

4つめは「無償化にならない認可外保育所とのさらなる格差」

こちらも無償化実施前から指摘されていましたが、独自の教育方法を行ったり、認可保育所が十分にない地域に開業している認可外保育所のさらなる経営状況の悪化が予想され、保育の多様な選択肢が失われてしまうという問題も発生しています。

 

上記4つのような問題が新たに発生していますので、早急に国や自治体は対処を行う必要があると考えます。このような問題がどの地域にどの頻度で起こっているのか検証し、私たち自身も情報を発信していく必要があります。

 

《保育業界の裏側①既得権益の現状について》

お金

本日は保育業界の闇の部分「既得権益」の現状について述べたいと思います。

待機児童問題において、政府の対応が批判される昨今ですが、実はもっと深い問題があります。それは保育業界を牛耳っている民間企業と地方自治体(地方議員)による既得利権の保護のための新規参入の阻止です。

前回のブログでも申し上げた通り、認可保育に対する助成金は0歳児一人当たり月21万円が国から支給されます。保育士一人当たり0歳児は3人まで見ることができますので、×3で計算すると保育士一人当たり毎月63万円の助成金が得られる計算になります。

保護者から頂く保育料はこれとは別で貰うことになりますし、この他にも助成金は数多くあります。この金額から格安の保育士の給料を差し引いたとしても利益はかなり出ていることがわかります。

ではなぜ企業は保育業界に続々と参入できないのでしょうか。

その一番の理由として、既存の保育園経営者が地方議員に働きかけて新規参入のハードルを上げているという事が挙げられます。

実はこれまで認可保育は児童60名以上(特別に認められれば20名)でしか始めることができませんでした。しかも敷地面積は遊戯室200平米以上運動場200平米以上などおよそ都市部では多額の資金が必要になるような条件が付加されており、児童の安全を名目にして、新規参入を阻止する状況になっていたのです。

しかし、待機児童問題の深刻化、「保育園落ちた日本死ね」事件などの影響で、

  • 2015年:小規模保育事業の開始
  • 2016年:企業型企業主導型保育事業助成金の開始
  • 2016年:保育所等整備促進税制(保育所の固定資産税免除)の開始
  • 2017年:認可外保育施設保育料助成制度の開始
  • 2019年:幼児教育・保育の無償化開始(予定)

といった施策が次々と行われようとしています。国も待機児童問題が社会問題と認知されてきたことにより、地方自治体の利権にかまってられなくなってきた様子です。

開業を目指している方にとっては、保育士不足、少子化、補助金の打切り等、まだまだ不安要素が多い現状ですが、新規参入への門戸は開かれつつあるのではないかと思われます。

《認可保育園に対する助成金について》

子供本日は保育園経営の要「助成金」について述べたいと思います。

認可された保育園に対しては国からの助成金が出るわけですが、基本額は下記のようになっています。

【児童1人当たりの助成金(月当たり)】

  • 0歳児:210,000円
  • 1歳児:135,000円
  • 2歳児:135,000円
  • 3歳児:78,000円
  • 4歳児:69,000円
  • 5歳児:69,000円

※これに加え、自治体からの上乗せがある地域もあります。

児童60名(0歳~5歳各年齢10名)で考えると助成金は月当たり約700万円となり、年間で算出すると約8400万円になります。この助成金の額を考えると、しっかりとした経営を行なえば安定した収入を生み出すことができるのも頷けます。

これ以外にも各自治体で初期整備費の補助があります。例えば世田谷区の場合だと、工事費の約4分の3の補助があります(詳細な計算はこちらを参照ください。)

また2016年4月がから開始された「企業主導型保育事業」も大きな助成金の一つとなりますので合わせてご確認ください。

《保育園開設までの費用について》

お金

本日は「保育園開設までの費用について」述べたいと思います。

開業する方にとって一番気になる問題ですが、賃貸物件で始める場合は開業までおおよそ400万円~700万円の費用が発生します。以下内訳です。

  • 広告宣伝費:20万円~50万円
  • 内装工事費:100万円~150万円
  • 物件取得費:100万円~150万円
  • 備品・消耗品費:50万円~100万円
  • コンサルティング費用:200万円~300万円

なぜ400万円~700万円とここまで開きがあるのかといいますと、やはり大きな要因として「コンサルティング費用」が挙げられます。

競合会社が少ない保育コンサルティング業界においては適正価格が維持されているとは言い難く、相場のわからないまま高額なコンサルティング契約をしてしまうということも多々あります。

また上記費用のうち「内装工事費」についても、請負工事業者からバックマージンを得ているコンサルティング業者も数多くあり、契約後でも高額な工事費を請求される例も見られます。

上記「広告宣伝費」に関しても効果があるのか分からないポスティングや出来上がったホームページが陳腐であったり等、対費用効果が感じられない施策を行う業者も存在します。

あくまで私がアドバイスできることとしては、必ず数社を見比べてから契約する事、自分でも勉強を怠らず相場を知る事、工事や備品関係など自分自身でできる裁量を確保しておく事、契約書の隅々まで確認し不利な条文を削除すること、などが挙げられます。

ちなみに私の立場として申し上げますと、上記費用のうち、「物件取得費」仲介手数料部分を半額にすることで費用削減にご協力できるかなと考えております。合わせて客観的なアドバイスもさせて頂きます(※こちらはもちろん無料です)。

また賃貸ではなく、物件を購入して始める場合は立地や建物の規模によって大きく変わってきます。数千万円~1億円規模の費用が発生しますので事業用ローンについても是非ご相談下さい。

さらに「助成金」についても忘れてはいけません。保育園開設については国や自治体が各種助成金を出しております。こちらに関しては次のページで述べておりますので是非ご確認ください。

《認可を得るための諸条件について【設備・人員編】》

幼児本日は「認可を得るための諸条件について【設備・人員編】」について述べたいと思います。

こちらに関しては国によって定められています。

【認可保育所の設置基準】

  • 年齢;0歳~小学校入学前の児童(2歳未満1割以上、3歳未満2割以上)
  • 定員:20名以上
  • 保育士数:0歳児3人につき1人以上、1歳児および2歳児6人につき1人以上、3歳児20人につき1人以上、4歳以上児30人につき1人以上(※これに加えて、「定員90人以下の施設にあってはこの定員のほかに1人以上の保育士を配置しなければならない」「常時2人を下回ってはならない」という基準があります。)
  • 設備:【乳児室】0歳児および1歳児1人あたり3.3m2【保育室等】2歳児以上1人あたり1.98m2【屋外遊技場】2歳児以上1人あたり3.3m2以上(保育所外の公園等を含む)
  • 給食:自園調理または委託

またこちらの認可保育所に加え、2015年より小規模認可保育園といった新たな設置基準ができました。こちらはA型、B型、C型の3種類があります。

【小規模保育園A型(認可保育所分園型)の設置基準】

  • 年齢;0歳~2歳
  • 定員:6~19名
  • 保育士数:認可保育所の配置基準+1名
  • 設備:認可保育所の設置基準と同じ
  • 給食:自園調理(連携施設からの搬入可)

【小規模保育園B型(中間型)の設置基準】

  • 年齢;0歳~2歳
  • 定員:6~19名
  • 保育士数:認可保育所の配置基準+1名※職員の2分の1が保育士であればよい
  • 設備:認可保育所の設置基準と同じ
  • 給食:自園調理(連携施設からの搬入可)

【小規模保育園C型(家庭型)の設置基準】

  • 年齢;0歳~2歳
  • 定員:6~10名
  • 保育士数:0~2歳児3人につき1人※無資格者も可(研修等必須)
  • 設備:ほぼ認可保育所の設置基準と同じ
  • 給食:自園調理(連携施設からの搬入可)

このように見ると小規模保育制度が始まったことにより、保育所開設までのハードルが下がったことがわかります。今後は都市部など大きな施設が確保しずらい地域で保育所の開設が増える方向に向かうのではないでしょうか。

《認可を得るための諸条件について【物件編】》

園児本日は「認可を得るための諸条件について【物件編】」について述べたいと思います。

各地域、自治体によって条件は変わってくるのですが、東京都の文京区を例にあげてみましょう。

保育所の開設について(2018年文京区HPより)

  •  保育室は児童が安全に避難できるよう、原則3階までとします。(4階以上は不可。)
  •  非常口が、児童の避難上有効な位置に2か所2方向設置されていること。(詳しくは、区担当者へ確認してください。) 
  •  (既存物件の場合)新耐震基準で建築された建物であること。
  •  (既存物件の場合)建物建築時の建築確認申請書、確認済証、検査済証(台帳記載事項証明書でも可。)があるかどうか確認すること。

以上のような条件が文京区では設定されていますが、他にも自治体によっては、

  • 0~5歳を預かる保育園(認可保育園):敷地面積350㎡程度(板橋区)
  • 0~2歳を預かる保育園(小規模保育園):建物延床面積100㎡以上(板橋区)

等の条件が加えられることもあります。

物件選びは保育所開設においてとても重要なポイントとなります。認可保育の諸条件をクリアし、かつ保育の需要を見込める場所を選ぶためには、入念に調査を重ねる必要があります。

《企業主導型保育事業助成金について》

本日は『企業主導型保育事業助成金』についてご説明したいと思います。

『企業主導型保育事業助成金』とは、いわゆる会社が作った保育園に対し、国が助成金を提供する制度です。

会社内のスペースで作ることもできますが、物件を新たに購入したり(※1)借りたり(※2)することも認められています。

※1 建物の新築費用や適合中古物件の購入費用が対象、土地の取得費用は対象外

※2 建物の賃借料のみ対象、土地の借地料は建築等整備を行う年度のみ対象

また地域の会社が共同で作ることも可能で、自社社員の福利厚生を充実させたい会社や、これから保育所を経営しようと考えている起業家の方にとっては朗報といえるのではないでしょうか。

気になる助成金の額ですが、

運営費として、基本額「年間約2600万円」(※3)+各種加算

※3 定員12人[乳児3人、1・2歳児9人]、東京都特別区、11時間開所、保育所比率50%の場合

整備費として、基本額「約8000万円」(※4)+各種加算

※4 定員30人、東京都、新設の場合

となります。

企業主導型保育事業助成金について(内閣府)

この事業のメリット・デメリットを自分なりにまとめてみました。

【メリット】

1.補助金の申請に自治体を通さないでよいのでスピーディに開設できる

2.夜間保育や休日保育、短時間保育など幅広い対応ができる

3.他の会社や地域の子供を受け入れることができる

4.共同出資が可能なので低リスクで保育園経営が始められる

【デメリット】

1.保育所の質の低下

2.事故が起こった際の企業責任が問われる

上記のようなメリット・デメリットが挙げられますが、やはり保育に関する知識の蓄積がない企業が新たに参入することで、保育の質の低下やそれに伴う園内での事故が最も懸念される事項ではないでしょうか。

それでも年間の運営助成金や初期整備費助成金が認可保育所と同等程度貰えることは大きなメリットと言えます。誠実にしっかりとした運営を行なえば安定した収入を確保することは可能です。意欲のある企業には是非とも保育事業の参入のきっかけにしてほしいと思います。

《保育所開設のメリット・デメリット》

園児

本日は保育所開設のメリット・デメリットを述べたいと思います。

保育所開設のメリット

・初期投資が少なく、利益率が高い

・安定した収益が見込める

・大きな設備投資が不要

・社会に大きく貢献できる

認可保育開設なら低利の融資を受けられる

認可保育所の場合は補助金が受けられる

保育所開設のデメリット

・新規の園では園児が集まりにくく経営が安定するまで時間がかかる

保育所内で事故が起こった際の対応

認可保育所の場合は決まった人員を確保する必要があるため人件費がかかる

・簡単に経営をやめることができない

認可保育とそれ以外で大幅な差

開設後に経営が安定した認可保育所は大きな収益をあげているところも多いのですが、認可外保育所や託児所などの小規模保育所では経営が苦しい園が多いと聞きます。

その原因としては、やはり国からの補助金などの優遇措置の差が大きいと考えられます。

しかし、小規模保育所においても独自の経営方法や経費の削減などにより大きな利益を出している園も少なくありません。

今後、認可外小規模保育に対する国の補助も増加する方向に向かっていますので、小規模から保育所経営を始めたい人も積極的に参加してほしいと思います。

《保育所の種類について》

 

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本日は基本的な保育施設の種類についてお話しようと思います。

保育所は大きく3種類に分けられる

まず大きく分けると3種類の保育施設に分類されます。

①認可保育所

②認証保育所・認証保育所

③認可外の保育施設

東京都公式ホームページ

一つずつ説明していきましょう。

①認可保育所

施設の広さや、保育士の数など国が定めた基準を満たし認可された施設です。原則として同じ区市町村に在住、在勤している人が利用できます。公費運営のため料金は安く、さらに公立保育園と私立保育園に分類できます。

②認証保育所・認定保育所

認証保育所は東京都、認定保育所は神奈川県の制度になります。都市部などで認可保育所の設置条件を満たすことが困難な場合が多かったため独自の基準を設定しました。都や県から補助金が出るため認可外の保育施設より比較的料金が安く設定されています。

③認可外の保育施設

国の認可がない保育施設となります。無認可と聞くと不安になられる方もいますが、広さが足りなかったり庭がなかったりと一部基準をクリアできなかっただけで素晴らしい保育園も数多くあります。補助金がないため保育料は割高ですが保護者の状況に関係なく入園できるというメリットもあります。

まとめ

安心して任せることができる保育所かどうかは認可、無認可で判断はできません。実際に施設を見学してみたり、評判を聞いたりして自分の目で判断することが大切です。

 

《保育所に土地を貸せば固定資産税全額免除》

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【固定資産税5年間全額免除】

それでは本日は具体的な政策、優遇制度の話をしていくことにしましょう。

まず東京都が保育を拡大するための政策で不動産と直結するのが、『民有地を活用した保育所等整備促進税制』が挙げられます。

これは平成28年11月1日から平成33年3月31日までの間に保育園を開設するための用地として土地を貸した場合に固定資産税と都市計画税が5年間全額無料になる制度です。

『民有地を活用した保育所等整備促進税制の内容』東京都ホームページより

こちらの制度はは東京都以外の埼玉県(戸田市)でも実施されています。

戸田市公式サイト

【事業者にはメリットなし】

ただしこちらの制度はあくまで地主さん(土地所有者)が優遇を受けれる制度ですので、開設する事業者(設置者)がメリットを得られるものではありません。

それでも保育所経営を考えている地主さんを増やす良い機会にもなりますし、建設会社、不動産会社においても積極的に保育園経営を顧客に提案するための好材料となります。

申請手続きですが、減免を受けたい年度の固定資産税第一期納付期限までに申請書類を提出することになります。

所有不動産の利用を考えている方は保育園経営を始める良い機会になるのではないでしょうか。